留学後の夢

留学

留学後の夢について書きたいと思います。

これは言い換えれば、留学の目的にもなります。

 

コロナ禍で一時的に急増したECMOの需要ですが、コロナの重症化率も下がって、最近はECMOの患者は少なくなりました。

ECMOブームは一時的で、ECMOの時代は終わった。

こんなことを言う医療従事者もいますが、私はそうは思いません。

これからECMOは別の存在意義として活躍することが期待されます。

そのことについて書いていきます。

 

オーストラリアで学んだ後は九州のECMO体制を構築する夢物語を描いています。

具体的に目指す九州のECMO体制とは、以下の3点です

1. ECMO患者の更なる集約化

2. ECMOによる肺移植のブリッジ

3. 日本でEVLPの確立

 

 

1. ECMO患者の更なる集約化

呼吸不全に対するECMOは、コロナ禍で大活躍しましたが、平時では呼吸ECMOの頻度は極めて低いです。具体的には人口100万人当たり3~4例/年と言われています。

そのため、最低でも300~400万人以上の規模に一つのECMOセンターを確立して、そのECMOセンターに患者を集約化させる体制作りが重要となります。

日本はECMO患者の集約化が未整備であり、オーストラリアのようにECMO患者を集約化させることで救命率の向上が目指せます。

福岡大学病院は、福岡県のみならず九州の基幹ECMOセンターとして、県境を越えて、複雑なECMO症例や肺移植が視野に入るECMO症例を受け入れる責務があります。ECMOカーを用いた搬送体制や受け入れ体制を強化する必要があります。

オーストラリアで集約化のコツを学んで、日本に持って帰りたいと思っています。

 

2. ECMOによる肺移植のブリッジ

ECMOは重症呼吸不全に対して、ECMOで酸素化を担うことで生命を維持して、肺を休ませることができます。勘違いをしてはいけないのは、ECMO自体が肺を治すわけではありません。なので、ECMOを導入しても、自己肺の回復力がない方は、残念ながら助けることはできません。

しかし、そのような患者を肺移植へと繋げること(ブリッジ)ができれば、話は変わります。急性期はECMOで生命を維持して、肺移植へとブリッジすれば、理論上は全ての患者を救うことができます。(もちろん実臨床はそんな簡単ではありませんが。。。)

皆さんご存じの通り、日本はドナーの圧倒的不足のため、移植後進国です。福岡大学病院はECMOセンターかつ肺移植認定施設であるにも関わらず、ECMOを用いた肺移植へのブリッジ経験はほとんどありません。

ECMOを用いて肺移植へブリッジするノウハウは日本で学ぶことは難しいです。ECMOによる肺移植へのブリッジが当たり前のように行われているオーストラリアでノウハウを学び、福岡大学をECMOセンター×肺移植認定施設として、日本を牽引するような施設に育て上げることができればと思っています。

 

3. 日本でEVLPの確立

肺移植のために用いられるドナー肺はP/F ratio 300未満の酸素化不良の際には不適格となります。また、肺を摘出後も6時間以内にレシピエントに生着させなければいけないなど制限が大きいです。

このような制限は、せっかくのドナー肺を有効活用できなくなる問題を生じます。

これらの問題を解決させる方法として、EVLPが注目されています。EVLPとは、ex-vivo lung perfusionの略で、(簡単に説明すると)脳死患者から摘出した肺に対して、肺自体に人工心肺装置(ECMO)を装着してドナー肺を灌流させることで、ドナー肺の時間制限をなくし、その間に肺自体を治療するといった手法です。

近い将来には日本でも臨床応用される日が近いと思っています。留学を通してオーストラリアで大型動物を用いたEVLPの手法を学び、日本での臨床応用に貢献したいと思っています。

福岡大学病院にECMOカーで患者を集め、EVLPで肺を集め、移植へ繋ぐ。

そんな施設へ導くことを夢見ています。

 

まとめると、九州でECMOと肺移植をコラボレーションした体制である“九州ECMO体制の構築”が、留学後の夢になります。

九州ECMO体制が日本のモデルケースになれば、最高ですね。

医学生の頃に漠然とではありますが、自分が死んだ後も患者が助かり続けるようなシステム作りに貢献したいと思っていました。やっと自分の目指すべき方向性が見えて、夢実現のための留学を成功させたいと思っています。

ある研究会での発表風景

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