留学までの過程⑤ ~2017年、1回目の渡豪~

留学

2017年にS先生の協力によって、St Vincent’s Hospital SydneyのICUへ見学が決定しました。

せっかく渡豪するなら、充実させたいということで、3つの都市を渡り、3つの目的を計画しました。

①シドニー:St Vincent’s HospitalのICU見学

②ゴールドコースト:オーストラリア/ニュージーランドの集中治療学会(ANZICS)へ参加

③メルボルン:The Alfred HospitalでECMOコースの受講

それぞれの都市を移動するには飛行機で1時間以上の時間が必要なので、短くても1週間の休暇が必要です。

医局にこんなワガママを相談して、休みをもらうのは厚かましい。

そこで、自分の夏休みを使って、渡豪することを決断しました。

1週間で3都市を回るこんなハードスケジュールの旅行に家族を連れていけるわけもなく、一人旅決定。

(若い時からいつも休みを仕事に費やしてきたので、妻には感謝です。オーストラリアで恩返しします。笑)

①のシドニーにあるSt Vincent’s Hospital SydneyのICU見学では、非常にフレンドリーな雰囲気で魅力的でした。

一番感銘を受けたのは、オーストラリア的ICUの効率的な働き方

ICU部長は全体を見渡しながら、実働として2つのチームが編成されていました。

チーム体制としては、チームリーダーとしてConsultant(日本の専門医もしくは指導医的な存在)の元にFellow(ある程度何でもできて、一人前まであと少し的な存在), Oversea fellow(現地の医師免許を取得した海外医師), Registrar(日本の専攻医、いわゆる専門医を目指して勉強中の若手医師), Observer(現地の医師免許を持たない海外医師)がついていく感じでした。

※その日の状況によっても異なると思いますので、私が見学した時の体制です。

実際の仕事内容は、チームごとに患者一人ずつを丁寧に回診していきます。

Consultantが後ろから見守りながら、一人は患者診察、一人はカルテ記載、一人はオーダーといったようにチームで効率的に仕事を進め、適宜discussionをすることで、診療と教育を同時並行で進めていました。

午後はチームでコーヒーを飲みながら、午前中撮影したレントゲンを確認していました。

その後は全体で勉強会。ちょうどその日のテーマがECMOでしたので、すごく勉強になりました。

そして、時間になったら、すぐ帰る!!

仕事より何より自分や家族の幸せを追求するオーストラリアの姿勢は、日本と根本的に考え方が異なっており、自分の人生について深く考えさせられました。

日本は生産性が低い国で有名ですが、その実態を肌で感じました。

日本での働き方を振り返ると、彼らの2倍の時間を費やして、1/2の生産性しか生み出していないような感覚でした。

今まで休みなく働いてきた自分の人生は正しかったのか。。。

子供に対して、休みなく仕事ばかりの父親で良いのか。。。

自分が学生時代に授業参観や運動会にいつも来てくれた両親のことをふと思い出しました。

子供が大きくなった時に、父親の私に対して何を思うのだろうか。

ECMOを学びに行ったのに、人生について色々と学ばされました。

②のANZICSの学会では、日本人が海外の学会で活躍している姿を羨ましく思い、私もいつか国際学会のステージに立ちたい。そんな思いを感じました。

③のThe Alfred HospitalのECMOコースは非常に学ぶことが多かったです。何といっても、The Alfred HospitalはELSO(Extracorporeal Life Support Organization)という世界のECMO団体からプラチナレベルの称号をもらっている世界を代表するECMOセンターです。

私自身はカロリンスカでのECMO研修の時とは異なり、ある程度ECMOのことを学んでいましたので、英語はわからなくても、何とかコースについていけました。

このように充実したオーストラリアでの夏休みを経験して、日本に無事帰ってきました。

2、3年後にはシドニーのSt Vincent’s Hospital Sydneyで働くことになるのかなぁなんて想像しながら。。。

St Vincent’s Hospital SydneyのICU内でoversea fellowらと撮影
The Alfred HospitalのECMOコース

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